そのとき、司会を務めた角田信朗氏は「ミライモンスターがリアルモンスターになった」と叫んだ。10月10日、ボディビルの日本一を決める伝統の大会、第67回男子日本ボディビル選手権大会が開催され、“令和の怪物”相澤隼人選手が頂点に立った。21歳での戴冠は前身である日本ボディビル協会が現在の日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)に改称した1982年以降の最年少記録。67年の歴史の中でも3位タイの記録となる。前回2019年の9位から一気にジャンプアップしての優勝。試合後には涙ながら喜びを語った。
「2019年の東京選手権を獲ったときもそうだったんですが、まだあまり実感が沸きません。日本選手権はずっと憧れの舞台で、2019年に初めてこの舞台に上がって、そこからの2年間、自分だけではここまでくることはできなかったです。周りの支えにすごく助けてもらいました。部活(日体大バーベルクラブ)のみんなや家族、そして兄、周囲の人たちに感謝しなければいけないと改めて実感した大会でした。
(9月に)日本クラス別選手では日本選手権にピークを持ってきたかったため、自分の満足のいく仕上がりではありませんでした。今日の仕上がりも正直、他の選手と比べるとバリバリではありません。そこ(絞り切ったバリバリ感)を求めてくのもボディビルのひとつですが、今年はいかにして筋量を残すかを減量のテーマにしていました。今回はそれ(筋量を残しての減量)ができたので、ここからさらもう一段階もう二段階と仕上がりをよくして、誰が見てもチャンピオンだと言われるような選手になりたいです。
これからもまだチャレンジャー精神は忘れてはいけないと思います。来年、再来年と自分を越えていければチャンピオンらしい身体になっていくと思います。また、それ以上に人として周囲の人たちへの配慮であったり感謝の気持ちだったりを絶対に忘れてはいけないと思いました。そういったことできてこそチャンピオンだと思います」
取材・文:藤本かずまさ 撮影:中島康介
執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。