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「白米」VS「玄米」論争の結末

突然ですが、歴史のお話から。
明治37年、日露戦争に臨んだ日本は、強国ロシアに辛くも勝利しましたが、5万人以上に上る戦死者を出しました。実はこの半数近くが、「脚気」で死亡していたというから驚きです。脚気は、ビタミンB1の欠乏症です。江戸末期ごろから都市部では、ビタミンB1を豊富に含む大麦や玄米に代わり、白米を食べることが一般化し始めました。その結果、ビタミンB1欠乏症である脚気が増加し「江戸わずらい」とまで呼ばれました。

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明治6年に公布された徴兵令によると、「1日6合の白米」を支給するという規定があり、白米に偏った食事が、軍人の脚気罹患者を増加させたと考えられています。白米食が脚気の原因だと指摘し、麦食の優位性を主張する意見もありました。しかし白米の優位性を説いた陸軍軍医森林太郎(文豪の森鴎外です)らの主張が、麦食推進論を打ち消してしまいました。これが大きな誤りでした。

時代は少し下り、昭和初頭に書かれた谷崎潤一郎の「細雪」には、関西の都市部に住む裕福な美しい3姉妹が、「B足らん」といって、ビタミンB1を注射し合う場面があります。このころには、ビタミンB1不足が脚気の原因だと知られるようになり、都市部に住む富裕層は、B1の不足を注射で補っていたわけです。食事で不足する栄養素を手軽にサプリメントで補う、今のライフスタイルに通じるものがありますね。

一方、「細雪」と同時期に執筆された、宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」には、当時の東北農村部の栄養状況をうかがわせるこんな一節があります。

~一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲ食べ~

決して豊かではない食事ですが、改めて栄養計算してみると、玄米4合に含まれるビタミンB1は2.56mg。成人男性1日あたりのビタミンB1の推奨量は1.4mgなので、十二分に足りています。注射で補わなければ脚気リスクと背中合わせの生活を送る「細雪」の3姉妹とは対照的です。

玄米や大麦など雑穀類の栄養価が高いことは、近年クローズアップされていますが、「白米」vs「玄米・雑穀」を巡っては、すでに歴史が多くを教えてくれていたのですね。穀物を単なるエネルギー源として捉えるのではなく、たんぱく質や脂質、ビタミンやミネラル、食物繊維などを含むパッケージとして捉えた場合、何を選ぶか選択の基準は自ずと変わってきます。

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執筆者:森弘子(もり・ひろこ)
ソライナ株式会社にてプロテインや健康食品の企画・開発を行う。ボディフィットネスでは東京大会4連覇、2016年には8年ぶりに大会復帰し関東オープン・フィットネスビキニ163㎝超級で優勝を飾る。


 

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