極真歴代最強説では必ず名前が上がる八巻建志(56)。身長187cm、体重110㎏の体格から一本などのノックダウンを量産、95年に百人組手を達成し、同年の第6回世界大会優勝後、極真会館を退会し、2002年にバッグ一つを持って単身アメリカに渡って18年。2012年にはアメリカで有名なマーシャルアーツ雑誌『ブラックベルト』の50周年記念号の表紙を飾り、DVDも同時に発売。カリフォルニア州トーランスを拠点に空手の普及に努めた八巻氏が、約10年ぶりに帰国。昨年よりセミナーを開催するなど精力的に活動を開始した八巻氏は、この先、何を目指そうとしているのか?
八巻氏は01年に渡米、02年から極真会館を離れ、八巻空手を主催し3000人以上の弟子を育てた。その中にはセレブ、格闘家、LAPD、US ARMYなどもいた。道場はカリフォルニア・トーランスに構え、ロサンゼルスのベストオブ道場で表彰を受けたほどだったが、昨年、米国の道場を弟子に任せ日本での活動を決意。9月に開催した帰国最初のセミナーは告知後数日で定員に達するほどの話題となった。11月には2度目のセミナーを開催。このセミナーで八巻氏は、姿勢こそ全ての極意と、新たに掴んだ境地を明かした。
それは意外な出来事からだった。
「2011年に3度も交通事故で追突されて鞭打ち症になりストレートネックになったんです。首がやばいくらいおかしくなって空手の指導などはもちろん、日常生活も厳しい感じでした。それまでは筋肉をいかに効率的に使うか、筋膜を意識したウェイトトレーンングを研究していましたが、それから立禅を集中的に行いました。日々、姿勢を正しく、無駄な力を抜くことで正しい姿勢を作れていき、痛みもなくなりストレートネックも改善しました。姿勢を正すことで繋がりが出てきて全身が自然に協調統一され、以前研究していた筋膜と筋肉の使い方の応用もできました」と語る。
正しい姿勢というと、学校や会社で行われる直立不動の固まった姿勢ではない。リラックスしているが、身体は崩れていない。頭は前に行かず骨盤の中心に位置し、首や背骨が正しくS字になるような人間本来の姿勢だ。「例えば頭の位置が良くないと首が歪み、肩も凝り、腰や膝に負担がかかる。姿勢を正さないと力が出ない。基本は姿勢であり、それが極意。単純に姿勢が大事とか言われているが、本来の姿勢のありかたが見落とされている」と指摘する。
日常生活での姿勢で注意すべきところについては「スマホやノートパソコンで頭を下にした姿勢、電車で下を向いてのスマホゲームはNG。首や肩に負担をかけ、ストレートネックにもつながる。あと足をクロスに組んで座ったり、どちらかに体重を傾ける姿勢は骨盤を歪むことに繋がるので、止めたほうがいい。格闘技や武道を志す人も注意してほしいし、スポーツ競技でスランプの人は姿勢を確認したらいいと思う」と話す。
今後について八巻氏は「アメリカに渡って18年、道場もある程度成功を収め、指導を任せられる黒帯も育ってきました。そういうこともあり、アメリカでの生活に一区切りつけ、日本にも拠点を作ろうと考えています。自分がこれまでやって来たことやアメリカで得た経験を日本の空手を愛する人たちと共有できたらいいのではないかと。また、アメリカではセレブをはじめいろいろな人にパーソナルトレーニングを教えてきたので日本でもやれたらと考えていて、具体的な場所や指導のシステムなどはこれから、ある程度はっきりした形を整えて進めていこうと計画しています。しばらくはアメリカと日本を行ったり来たりすることになると思いますが、日本で空手を教えるのは20年ぶりになりますし、ここからまたいろいろな可能性が広がっていくだろうと期待しています。最初の極真時代が第1章とするなら、アメリカ時代が第2章、そして今回が“八巻建志の空手人生の第3章”になります。自分自身でも楽しみにしていますし、また空手界を盛り上げるための一助になれればと思っています」と語っている。(Fight&Life Vol.77より)
次回のセミナーが、2月14日(日)にカルッツかわさき特設セミナー会場内で開催される。伝説の空手家から直接、効率的な体の使い方を学ぶことができるまたとない機会となる。あなたも極意を体感してみてはいかがだろう。
<セミナー情報>
日時:2月14日(日)13:00~15:00
場所:カルッツかわさき 特設セミナー会場
参加費:3,000円(税込)
持ち物:動きやすい服装(空手着でなくてもOK)
予約:https://t.livepocket.jp/e/6y0r8