昨年は世界的なコロナ禍によって受験前の最後の試合と定めていたJFKO全日本大会が中止となり、また秋の全日本大会は受験のため出場しなかったため、高校最後の年は試合に出ることができずに終わってしまった。
目代が欠場した全日本大会は男子は同門の先輩である入来建武が優勝したが、女子はワンツーフィニッシュを他流派選手に占められる結果となった。
「全日本大会はオンライン配信で観戦していました。建武先生の優勝は感動しました。久々に先生の試合が見られて、また優勝だったこともありますが、久しぶりに見た先生の組手が打ち合いの中での前蹴りやヒザ蹴りの出し方など、すごく進化していて凄かったです。私もがんばらなければと思いました。女子の試合はずっと“もし自分が出ていたら”と思いながら観戦していました。正直なところ最近は他流派の選手が強いのでこの結果は仕方がないかな思って見ていました。久保田選手と菊川選手は本当に強いと思いました。久保田選手は本当に“強い”の一言です。まだ対戦したことがないので、チャンスがあれば挑戦してみたいです。菊川選手はすべての突き蹴りが120%力を出し切っているように見え、普段の激しい稽古の努力が感じられました。一方、結果的に負けてしまいましたが加藤小也加先輩の動きは他の選手とはレベルが違いました。大会全体を通して一番の動きだったと思います。ずっと“もし自分が対戦したら”と想定しながら試合を観戦していたので、稽古のやる気が強くなり、自分の心が燃えるのを感じました」
大学進学後、最初の戦いがJFKO全日本大会だが、この大会は彼女の夢に向けてのスタートになる。
「私の夢は新極真会の無差別級世界チャンピオンになることです。その目標を実現させるためにも、今年のJFKO全日本大会の軽重量級で絶対に優勝して次の世界ウエイト制大会への出場権を手に入れたいと思っています」フルコンタクト空手最高峰のタイトルへ向けての夢を熱く語る一方、5月に迫ったJFKO全日本大会では今の自分をどう出していくかをテーマにしているという。
「もちろん優勝したいという気持ちが第一で、勝つことが大事ですが、稽古したことを出し切って以前より強くなった自分を出していけるように心がけます」
これから次の世界大会を目指す一方、もうひとつの夢である教師になるために目代は大学での勉強との両立を大事に考えている。教師を目指すとなると選手引退後に空手の先生も視野に入れているかと思いきや、その考えは今のところないという。
「教師は以前からの夢なので実現させたいと思っていますが、空手の先生は自分は向いていないと思います。自分に似たタイプの道場生には教えることはできると思いますが、道場は年齢もタイプもバラバラな人たちが集まってくるので私にはちょっと無理かなと思っています。いろんな生徒に教えている師範や先生たちはすごいと思います」
“高速パンチ女子高生”として知名度を上げてきた目代だが、このキャッチコピーが使える時間はもう残りわずか。
JFKO全日本大会は大学生としてのデビュー戦となる。高校時代は様々な要因で試合が思うようにできなかったが、充実した空手生活を送れたという。
「中学までは、まだそんなに試合で結果を出すことができなくて、活躍と呼べるほどのものがありませんでした。それが高校生になって最初の大会だったJFKO国際大会で3位に入賞して、その年の全日本大会ではベスト8で敢闘賞をもらいました。翌年はドリームフェスティバルの高校の部で優勝して、アジア大会でも優勝することができました。着実なステップアップができた高校3年間だったんじゃないかと思います。高速パンチ女子高生というキャッチコピーは素晴らしいネーミングだと思いました。インパクトがあるじゃないですか(笑) 。それがもうすぐ終わってしまうのはちょっと寂しくもありますが、次のステージに向けて頑張っていきます」
目代の高校時代のキャリアは進学直後のJFKO入賞から始まった。大学生としてのデビュー戦も、再びJFKOから始まる。彼女が思い描く世界への挑戦がこの大会からスタートする。今年のJFKO全日本大会は本来併催されるはずだった第1回WFKO世界大会が新型コロナの影響で9月に延期となったため、本来全日本大会には出場しない世界大会代表選手たちが出場する可能性が高い。目代が出場する軽重量級には前回大会優勝者の浅古麗美(社団法人 極真会館 埼玉県木村道場)をはじめ、強豪選手が多数集まる階級となっている。トーナメントの難易度はかなり高まることが予想されるが、世界を目指す上で実力を試す格好の場となるだろう。