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伝説のボディビルダーたちが実践したトレーニング法

表と裏の筋肉を刺激する2種目を組み合わせるやり方は、1970年代にアーノルド・シュワルツェネッガーが行っていたということで広まった。当時、彼が行っていた拮抗筋のスーパーセットが紹介されると、多くのボディビルダーたちが彼に倣った。

文:Jason Smithers, CSCS 翻訳:ゴンズプロダクション

アーノルドは何しろミスターオリンピアに7回も輝いたボディビルダーである。アーノルドのトレーニングに間違いはないと、誰もが拮抗筋のスーパーセットの効果を疑わなかったのだ。そうやって多くのトレーニーが胸と背中、大腿四頭筋とハムストリング、上腕二頭筋と上腕三頭筋を組み合わせてワークアウトするようになったわけだが、実際のところ、拮抗筋のスーパーセットにはどのような長所があるのだろうか。以下に、拮抗筋スーパーセットの効率性、コンディション作りでの効果、そして筋発達との関係を簡単に解説しておきたい。

効率性

日々忙しいスケジュールに追われている人でも、ジムはできるだけ休みたくない。だから、効率のいいやり方を誰もが模索している。もちろん、トレーニングを続けるからには結果を出したいので、効果があって、なおかつ最小限の時間で十分な刺激を筋肉に与えられるなら、それこそ画期的なことなのだ。

通常のやり方は、選択した種目でまずはウォームアップセットを行って休憩し、本番セットを1セット終えるたびに休憩し、最終的に4、5種目を行ってワークアウトを終了する。しかし、スーパーセットなら、2種目を1セットずつ連続して行ってから休憩するので、ワークアウトの所要時間を短縮することができるのだ。

しかも拮抗する部位をひとつのワークアウトの中で刺激することができる。これは間違いなく時間短縮になり、効率がいいと言えるはずだ。

コンディション作り

2つの種目を1セットずつ連続して行うということは、心肺機能への負担もかなりのものだ。やっていることは無酸素運動だが、同時に有酸素運動の効果も期待できる。そのため、筋肉を刺激しながら、よりたくさんのカロリーを燃焼できるので、コンテストコンディションを作る期間中でも用いることができる。

実は、アーノルド・シュワルツェネガーたちが活躍していた時代のボディビルダーたちは、コンテスト前の調整期であっても、有酸素運動を単独で行う人はほとんどいなかった。彼らはコンテストコンディションを作るためにウエイトトレーニングの運動量を増やし、運動のペースを速めることで有酸素運動の効果も得ていたのである。

スーパーセット法には、まさにコンディショニングのための要素も含まれている。2つの異なる動作を連続して行うことで運動量が増え、レップのペースを速めて行えば有酸素運動にもなるのだ。これに低炭水化物食とポージングの練習を繰り返し行えば、理想のコンディション作りに役立つはずだ。

筋発達

筋力を効率よく伸ばしていくには、目的の部位の拮抗筋を活性化することが大切だと多くの研究結果が示している。例えば、セット間の休憩の際に、拮抗筋をストレッチするだけでも対象筋の筋力増加に貢献するという研究結果もあることから、対象筋と拮抗関係にある筋肉を使うことはとても意味のあることなのだ。

ブラジルで行われた実験では、ロウイング種目のセット間の休憩時に、背中と拮抗関係にある胸筋をストレッチすることで背中の筋力に変化が見られるかどうかが調べられた(実験名は、セット間の休息時における拮抗部位の静的ストレッチが反復運動と筋肉活性化に及ぼす効果)。

実験の結果、シーテッドロウを1セット終えた後の休憩中に、40秒間の静的ストレッチを大胸筋に行うと、2セット目以降のシーテッドロウで限界に達するまでのレップ数が増加したのである。この実験の研究者たちは「胸筋の静的ストレッチが広背筋と上腕二頭筋を活性化させ、それがシーテッドロウの限界レップ数を増加させたのではないか」と結論づけた。拮抗筋をストレッチするだけでもいい結果が得られたならば、拮抗筋同士をスーパーセットにしたらもっと大きな効果が狙えるはずだ。

目的部位に負荷をかけて緊張させると、その拮抗筋は弛緩する。目的部位と拮抗筋をスーパーセットで刺激するということは、表と裏の筋肉を交互に緊張させたり弛緩させたりするということになる。緊張した筋肉を弛緩させることは疲労回復の促進になり、回復が早まればそれだけ筋発達反応も起きやすくなるはずだ。つまり、筋肥大と筋力の増加が顕著に起きることが期待できるわけだ。

複数の実験で、拮抗筋を刺激することで目的部位の筋出力レベルが増加するという結果が得られている(ショーエンフェルド、2011:グラビナー、1990)。また、実験の中には、スーパーセットを終えた後の被験者の体内テストステロンを測定したところ、生成量が増加したという結果を得たものもある。筋発達を目指すトレーニーにとってテストステロンの増加は非常に喜ばしいことである。

セット間の休憩をどう過ごすかはトレーニーの自由だが、じっと座って息が整うのを待つ時間がもったいないと思うなら、例えば背中のためのロウを1セット終えたら、軽い重量でベンチプレスを1セット行ってみよう。次回の胸のワークアウトでベンチプレスを行ったとき、使用重量が増加しているかもしれない。「トレーニング中はできるだけ休まない」そんな気構えを持つことは決してマイナスにはならない。セット間の休憩はじっと座って過ごさなければならないというわけではないのだ。1分1秒でも有効に使いたいなら拮抗筋の種目、ストレッチは大いにやるべきである。

目的部位と拮抗筋の種目をスーパーセットで行うやり方は、ミスターオリンピアのセルジオ・オリバーもよく実践していた。彼は、この方法でトレーニングを行うと疲労回復がいつもより早くなることを実感していたそうだ。

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