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筋肥大と持久力アップの “二刀流”を実現するメソッドとは?

筋肉がつけばつくほど持久力がダウンしている気がする。かといって有酸素運動はつらい…。そんなお悩みを持つ方へ、筋肥大と持久力アップを同時に狙える効率的トレーニングをご紹介します。

文:IM編集部

長時間のランニングつらいと感じるのはなぜか?

ボディビルダーにとって筋肥大と同等に重要で、その効果を得るために血のにじむ苦労と苦痛に耐えているのが「皮下脂肪減らし」ですね。筋肥大のトレーニングと並行して有酸素運動も実施しなければ、満足のいく体脂肪率は維持できません。

しかし、一般的に言って筋力と持久力を両立させることは大変難しいとされています。本誌読者の皆様も、筋肥大効果が増すにつれて持久力が低下している実感を持たれた方は少なくないのではないでしょうか。

ある研究では、ミトコンドリアが高強度トレーニングで増えること、またそれに伴って脂質代謝能力が高まるという報告も示されています。しかし、広く認知されているのは、やはり「筋肥大が毛細血管やミトコンドリア密度の減少につながり、筋持久力の向上に良い影響を与えない」といった研究報告でしょう。

体感的にも「長時間のランニングはつらい」と感じる人の方が圧倒的に多いはず。では、なぜつらい、苦しいと感じるのか?

運動時の持久力を構成する生理機能には、いくつかの要素があげられます。例えば、心肺機能(酸素摂取力と二酸化炭素の排出力)、心拍出量、遅筋の量、ヘモグロビン数、血流状態、ミトコンドリア数、脂質代謝力、体幹筋群(腹筋、背筋、横隔膜など)の収縮力、神経回路などなど。これら多数の作用が重なり合い、持久力の高低が決まります。さらにスポーツ競技者では、筋持久力という能力も必要とされています。

筋肥大効果が得られるということは、「速筋」の分量が増えるわけですので、半比例するように持久力を発揮する「遅筋」の割合が減少していることになります。筋肥大により体重増加も起きることから、有酸素運動を続ける際の運動エネルギーもより多く確保しなければなりません。

これをクルマにたとえて考えてみましょう。クルマのエンジンが大きくなれば、車両重量も増しますよね。クルマを縦横無尽に操るには、より多くのガソリンが消費されます。質の良いガソリンがロスなくエンジンルームへ運ばれて、潤沢な酸素と結合し燃焼される。そうして大きなエネルギーが継続的に提供されることで、快適な運転が楽しめるわけです。

有酸素運動では遅筋が主導的に働きますが、速筋が完全に休んでいるわけではありません。速筋もエネルギーを消費して、出力を発揮しています。そこでは乳酸の発生も同時に進行しており、運動強度が上がるにつれて血中の乳酸濃度が高められています。

有酸素運動が苦しく感じられる状況では、酸素が不足し、二酸化炭素の排出が間に合わず、血中では乳酸濃度の上昇から酸性化が高まり、筋収縮を妨げる要素が瞬く間に増えているのです。さらに、血液の水分が急激に低下して脱水状態が増幅します。身体内は、必要なエネルギーや酸素が枯渇した状態となり、緊急事態に対応するための保護システムや回復再生作用が始動します。

筋トレとエアロビック改めて順番を考えてみる

「脂肪を減量する」ことが優先課題の場合、運動の順序は「筋トレ→エアロビック」がよいと示された研究があります。

その根拠は「筋トレを行ってからエアロビックを行うと、エアロビック運動中の脂質代謝が増大する。この効果は筋トレによって分泌されるアドレナリン、ノルアドレナリン、成長ホルモンなどの脂肪分解作用によるものであり、逆に筋トレ前にエアロビックを行った場合、筋トレによるこれらのホルモンの分泌が完全に抑制される」というものです。

ですが実際に筋トレとエアロビックを組み合わせて行った実験では、筋トレ後にエアロビックを行うと、mTORシグナル伝達系の活性化も、タンパク質合成も筋トレ単独の場合より低下しました。一方、筋トレの前にエアロビックを行った場合には、mTORシグナル伝達系の活性化は影響を受けませんでした。

その理由として、AMPKはエアロビック直後に活性化されるものの、筋トレ3時間後にはベースラインに戻っているためと考えられます。さらに、タンパク質合成を見ると、①エアロビック+筋トレ②筋トレ単独③筋トレ+エアロビックの順となり、筋トレ前にエアロビックを行うと、タンパク質合成が増強されるという結果になりました。このことから、筋肥大を主目的とするのであれば、「エアロビック↓筋トレ」という戦略も可能ということになります。

数々の研究成果が証明した
加圧トレの有酸素運動効果

さて、筋肥大を得つつ持久力も高められるような、言ってみれば〝都合のよい〟トレーニングはあるのでしょうか。そんな疑問の答えとして注目されているのが、加圧トレーニングの持つ高いポテンシャルです。

例えば、大阪教育大学で実施された加圧トレーニングの有酸素運動効果に関する研究では、心肺機能の向上や長距離走のパフォーマンスが飛躍的に向上したという結果が示されています。また、1997年に東京大学大学院生命科学研究所より出された研究発表でも、加圧トレーニングによる軽負荷筋トレにより、筋肥大と筋持久力の向上という両面の成果が得られたことが示されています。

このほか、加圧ウォーキングの効果についての研究でも、筋肥大とともに持久力効果の向上が得られたという数値が示されました。

軽重量で実施する加圧トレーニングでは、血中に生じる低酸素化、乳酸濃度の上昇、一酸化窒素の大量分泌など、体の防衛・再生反応を始動させるメカニズムが働くことで、トレーニング効果の効率が高まります。その意味でも、加圧トレーニングは現在の運動生理学の理論を超え、高い効果を得ることができる世界最先端のトレーニングメソッドと言えるかもしれません。

※「KAATSU」のロゴマークおよび「加圧サイクル」、「加圧ウエルネス」、「加圧トレーニング」、「加圧トレーナー」は、KAATSU JAPAN株式会社の登録商標です。

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