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筋肥大の鍵を握る成長因子の正体

筋肥大の鍵を握る成長因子サイトカインとは。そしてサルコペニア抑制に影響している成分とその働きを紹介します。

文:IM編集部

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筋肥大の鍵を握る成長因子サイトカインとは?

さて今回からは、軽負荷でも筋肥大と筋力アップが得られる加圧トレーニングについてミクロの世界まで深堀りしながら、そのメカニズムをご紹介していきます。

筋肥大の局所的メカニズムを担うものとして、筋線維やその周辺の細胞から分泌される成長因子が挙げられます。『サイトカイン』というタンパク質です。これまでに数百種類を超えるサイトカインの存在が明らかになっており、現在はそれぞれの役割について研究が進んでいます。

実は加圧トレーニングの作用から得られたホルモン分泌の中にも、このサイトカインが複数含まれています。その中から、サルコペニア抑制に影響している成分とその働きを紹介していきましょう。

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IGF-1(インスリン様成長因子1)

IGF-1は筋肥大を刺激する成長因子として知られています。

筋線維の再生のために必要な『筋サテライト細胞』という幹細胞の増殖を促すなど、局所的に働いて筋肥大に貢献することが分かっています。他にも、血糖値を下げ物質代謝の同化反応を促進する、さらに最新研究からは、神経細胞をつくりシナプスの結合や血管新生を促すことも明らかになっています。

加圧トレーニングでは、実施直後から大量の成長ホルモンが血液中に分泌されますが、この時、筋線維へのダメージが極めて小さいにもかかわらず、その分泌量は通常の高重量トレーニングの数倍から数十倍にもなります。この成長ホルモンの作用により、IGF-1の分泌が促されると考えられます。

IL-6(インターロイキン-6)

この成分には、筋損傷などからの再生過程を刺激して、筋の成長・肥大を助長する働きがあります。さらに、抗炎症作用や脂肪分解作用もあり、再生と分解の両機能を持つ〝万能ホルモン〟として認知されています。

通常は、高重量による筋線維へのダメージを修復する目的で血管内皮や筋肉(骨格筋の収縮)から分泌されますが、加圧トレーニングでは筋損傷が伴わない軽負荷刺激にもかかわらず、この成分が大量に分泌されることが分かっています。脳下垂体が強烈な刺激を受けて、大量のアドレナリンや成長ホルモンが分泌されるのですが、おそらくIL-6もこの刺激に反応して分泌が促されると考えられています。

ミオスタチン

筋肉の細胞増殖を強く抑制する成長因子のひとつです。ミオスタチンの分泌を抑える加工を施した動物では、成長による筋肉量が通常の200%を超えるという結果が確認されています。

私たちの体に筋肉がつきすぎて筋力が過剰に高まると、関節や骨を壊す恐れが生じます。ミオスタチンは、骨とのバランスをほどよく保った筋肥大を調整する役割を担っているわけです。ミオスタチンが働かなければ、例えばボディビルダーは楽に超人ハルクのような体をつくることができるでしょうが、生命維持的な観点では正常とは言えません。そうした過剰な反応が出ないように抑えることが本来の役目となります。

ラットを使った加圧トレーニング実験では、加圧トレーニング後にミオスタチン作用が抑制されると考えられる計測値が示されています。これは、軽負荷の筋トレにもかかわらず、短期間での筋肥大が得られる効果を裏付けるデータとして説かれています。

以上のように科学的にもメカニズムが解明されてきた加圧トレーニングは、リハビリを必要とする方、そして今回のテーマでもあるサルコペニアやその予備軍の方々にとっても、手軽で簡単に負担なく機能改善が得られる最良のトレーニング方法として大いに期待されているのです。(図2)

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