トレーニングしているわりには腕が太くならない、バランス的に腕が弱いなど、悩みを感じているトレーニーも多いのではなかろうか。ここでは鈴木雅選手が腕トレに関する疑問をQ&A 形式で解説。初級者~上級者まで、段階的に腕のトレーニングを紐解いていく。
取材・文:藤本かずまさ
▶「腕を太くするポイント」「腕トレの分割法」
▶「腕を太くする種目の選び方」「腕トレの重量設定」
初心者が陥りがちな間違いは何ですか
「上げる」という意識はなるべく捨てたほうがいいでしょう
「二頭筋を動かすときに『肘を曲げて上げる』という動作を行う人が多いかもしれません。それでは二頭筋よりも、その下にある上腕筋に刺激がいってしまいます。
収縮しきった際に二頭筋が緩んでしまったら、力こぶで上げていることにはなりません。『上げる』という意識はなるべく捨てたほうがいいでしょう。
また、チーティング(反動)を使うときに、膝をクッションのように使って、飛び上がるようにしている人もいます。収縮させた際には、二頭筋でしっかりと負荷を受けなくてはいけません。チーティングを使って上げて、収縮時に力を入れずに、そのままストンと落とす。それでは、ただ全身を使って上げたにすぎません。
チーティングの使い方はとても大事です。上体がぶれてしまう体幹優先の使い方はNGです。ちゃんと腕で上げているかどうか。チーティングは、カール動作だけでは上げられない分を少し補うものです。あくまでも補助です。体が主導になるチーティングはよくありません。二頭筋の動きを補助するものでなければいけません」
チーティングは使ってもいいのですか?
バーベルカールにおいてはターゲットとする部位をしっかりと鍛えるという面で有効だと言えます
「バーベルカールではチーティングが必要な場合もあります。スティッキングポイントと呼ばれるものがあります。上げるのがもっともキツい角度、カールの場合ですとダンベルやバーベルが体からもっとも離れているポイント、カールの場合ですと肘の角度が90度になっている局面です。
ここでは主導筋にもっとも負荷がかかっていると思われがちですが、実はそうではありません。関節の角度としてもっとも上げづらいポイントではあるのですが、90度から少し曲げたところで二頭筋には大きな負荷がかかります。つまり、それは関節にもっとも負担がかかるポジションの少し先にあるのです。
なので、スティッキングポイントを基本にして重量を設定すると、二頭筋にもっとも負荷がかかるポジションで最大の負荷を与えることはできません。また、そのポジションを基準に負荷を設定すると、スティッキングポイントで関節に大きな負荷がかかり、それ以上上げられなくなってしまいます。関節への負荷を軽減し、ターゲットとする部位をしっかりと鍛えるという面で、チーティングは有効だと言えます」
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