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『30年間服役してシャバに出てきた感覚』伝説の筋肉で席巻してきた須江正尋が語ったこと

数多くのドラマが見られた昨年の日本選手権。選手たちはどのような思いで、あの日のあのステージに上がったのか。ここでは男子ボディビル、女子フィジークの各2位から12位までの選手を単独取材。感動の舞台裏に迫る。

取材:IRONMAN編集部 撮影:中島康介

伝説の肉体がこちら

2021年男子日本ボディビル選手権大会9位・須江正尋「生まれ変わるなら生きているうちに」

順位にこだわりを持たないようにしていますので、9位という順位に対する感想は特にありません。日本クラス別のときは65㎏以下級で出場しましたが、限界まで減量することを目標にしたら体重を落とし過ぎて闘うコンディション(体調)ではなかったですね。「出れば優勝」という気持ちでいましたが、ただ絞るだけでは吉岡賢輝選手のボリュームには敵わなかったです。それから日本選手権に向けて最後の調整を行い身体に張りを戻していきました。
今の課題は、身体の故障や仕事の忙しさが重なり思うようにトレーニングできない部位もあったので、全部位に対してしっかりアプローチをしていこうと思っています。特に胸の厚み、肩と腕の大きさを求めたいと考えています。なかでも三頭筋のトレーニングが思うようにできず腕が細くなってしまったので元に戻したいですね。今年のシーズンに向けてしっかり取り組むつもりです。

これがボディビルの厚み

じつは、昨年10月から私のジムの仕事に専念できるようになり環境が変わりました。以前、私がボディビルに復帰したとき妻の一言がありましたが、今回も「やりたいことはやるべきなんじゃない」と、妻の言葉に後押しされて大きく一歩踏み出すことができました。30年間、朝早く仕事に行き、職場に籠りっきりで夜までデスクワークをするという生活が変わり、用事で昼に外出すると、本当に空の青さが染みます……。秋になり空が高くなって、「あんなに昼の空が青かったんだ」と、ずっと服役してシャバに出てきたような感覚です(笑)。新鮮な気持ちで、ストレスも減りました。ここから新たなスタートを切れるようになったと思います。
ジムの額縁に飾ってある長渕剛さんの、「生まれ変わるなら生きてるうちに」という言葉をいつも心の中に思っていましたが、思っているだけじゃダメなんだと、実行するべきなんだと、ようやく動くことができました。

これぞ男の中の漢

トレーニングについては、午前中に私自身の時間をいただいているので、これからはしっかりできると思います。今年も出るからには勝ちにいく気持ちで、最大限の努力をしていきます。今は、脇目も振らず駆け上がろうとしていた若いころと同じようなワクワク感に満ちています。今年の自分が楽しみです。

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