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トップ選手のビフォーアフター!横川尚隆「筋肥大を叶える思考術」ロングインタビュー再録②

──でも続けるって、一番難しいことだと思います。
横川 ……やっていることの成果が目に見えないと、続けるのはキツいですよね。でも、成果が見えないからといってすぐに全てを止めてしまうのは違うと思います。やり方を変えるっていう選択肢があるじゃないですか。僕自身もずっと身体が進化し続けているって言っても、なかなか変わらない部位もありましたからね。それでも時間をかけ、いろいろなやり方を見つけて進化を促してきたから、絶対に変わらないってことはないはずなんですよね。変わらないのは、取り組み方が中途半端だからです。

──変わらなかった部位に関して、それまでの取り組みを振り返ると中途半端だったな、と思うわけですか?
横川 いいえ、そういうわけではありません。やり方が間違っていたことはありますが、間違っていたと気づくのは、本気で取り組んでいる証拠なんですよね。中途半端というのは、間違っていることにも気づかず、ただ「変わらないな〜」と思いながら同じことばかり繰り返している状態を指します。

──身体との向き合い方が中途半端ということですね。
横川 本当に変えたいと思うなら語彙が足りないかもしれないけど、しっかりやるしかないんですよ。ちょっとやっただけじゃ変わらなくて当然です。ラーメンにほんのちょっとだけコショウをかけても、味はほとんど変わらないじゃないですか。パッパッパッと3振りくらいして初めてコショウの存在を感じられるようになる。なんでも、基準値を超えないと何も変わらないんですよ。

──基準値を超える。身体づくりでいえば、一般的には3ヵ月続けてようやく身体が変わると言われますが……。
横川 その言い方だと、時間が基準値になっちゃいますよね。だから、多くの人が3ヵ月をダラダラ待ってしまうんじゃないですか?

──たしかに、3ヵ月ってまあまあ長いですよね。振り返れば早いけれど。
横川 こんなに頑張っても3ヵ月は変わらないのかって思ったら、シンドくて当たり前ですよ。だったら3ヵ月のダラダラをやめて、本気で取り組んで1ヵ月で変えたほうがいい。1ヵ月でも、身体は変わります。本気で変えたいと思ってやれば、絶対に変わりますから。それでもし続かなかったら、そこまでの気持ちじゃなかったってこと。もちろん筋トレが好き、とか定期的に身体を動かすほうがいい、とかそういう人は別ですよ。好きなやり方で自分のペースで続けていけばいいと思う。けど、ガラッと変えたい願望があるのなら「ちょっとジム通ってます」くらいのノリでいるのは、違うんじゃないですかね。そんなに簡単じゃないですよ。

──簡単じゃない。本当にそうですよね。
横川 太りやすい意外にも、僕は胃腸が弱くてすぐに下す体質なんですよね。寝付きも良くなくて、ぐっすり眠れて朝快調なんてことはほとんどありません。

──身体づくりは運動、栄養、休養の3本柱と言われますが、3本のうち2本が折れかかっている状態だと。
横川 そういうのも気にしちゃう人が多いと思うんです。せっかく摂取した栄養が……とか、回復がうまくいかない……とか。でも、そんなこと言っても何も始まらないですよね。自分のやりたいことの全てが順調なわけがないじゃないですか。嫌なことがあっても、それが諦める理由にはなりません。当然、胃腸が強い人や熟睡できる人がいれば、羨ましく思いますよ。でも、ないものを求めてもしょうがないから。こういう身体で自分は生まれたわけだし、これが自分のデフォルトだからと受け流すしかない。自分のなかにあるものを伸ばすしか、道はありません。

横川尚隆(よこかわ・なおたか)
1994年7月10日生まれ。東京都出身。身長170cm、体重75~80kg IFBBエリートプロ
●主な成績
2014年 ベストフィジークジャパンミスターベストフィジーク2位
2015年 第2回オールジャパン・メンズフィジーク172cm以下級優勝
2016年 日本ジュニアボディビル選手権 優勝
2017年 日本クラス別80kg 以下級 優勝
2019年 日本ボディビル選手権 優勝


鈴木彩乃(すずき・あやの)
フリーライター&エディター。書籍制作を中心に、ウェルネス系メディアでの執筆、編集活動を展開中。好きな筋肉は、前鋸筋。


 

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