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筋肉増強剤アナボリックステロイドの恐怖

ボディビルダーたちはジムでのワークアウトに何年も励んでいる。それでも彼らは、どれだけ見事な身体を作り上げても決してトレーニングをやめようとはしない。特に、生涯ナチュラルを通してきたトレーニーならなおさらだろう。もし、闇の世界に足を踏み入れたとしたら、自分はどんな身体になるのか、想像を膨らませたこともあるかもしれない。つまり、人工的に作り出されたテストステロン、いわゆるドーピングとしてのステロイドを使用した場合である。

文:Sarah L. Chadwell, NASM-CPT 翻訳:ゴンズプロダクション

▶アナボリックステロイドの効果と副作用

天然のテストステロンとは

私たちの身体の中で作り出されるホルモンには様々なものがあり、身体の機能を健全に保つために大切な役割を担っている。中でもテストステロンは重要だ。

具体的なテストステロンの働きは次のとおりである。

テストステロンの働き
●男性の生殖器官の発達に関与
●精子の生成に関与
●男女の性欲に関与
●筋量や筋力の増加に関与
●脂肪の吸収、貯蔵を抑制、体脂肪の分布に関与
●脳内での記憶力、性欲、認知力の向上
●新たに赤血球を作り出す合図を出す
●骨密度を高め、骨の成長を促す
●コラーゲンの生成を助ける

テストステロンは本来、私たちの身体の中で自然に作られる。しかし、様々な理由でテストステロンの生成が抑制されてしまうと低テストステロン症を発症することになる。これは男性だけでなく女性でも同様だ。

低テストステロン症になってしまった場合は、人工のテストステロンを投与したりするなどのホルモン療法が行われることがある。

人工のテストステロンとは

治療以外の目的での人工テストステロン使用については、様々な呼び名からも想像されるとおりアスリート絡みであることが多い。ギア、ロイド、ソース、パンパース、キャンディ、ウエイトトレーナー、ジュースなどの呼び名がそうだ。これらはテストステロンやステロイドのことで、アスリートたちの会話の中にもよく出てくる言葉である。

アナボリックステロイドは合成物質だ。厳密に言うと「アナボリック・アンドロジェニック・ステロイド」であり、筋発達を意味するアナボリックと、男性の性徴を増加させるという意味のアンドロジェニックの両方がもたらされるステロイド物質なのだ。

このような物質を投与すると、筋量が短期間で増加し、競技能力の向上、体脂肪の減少が見られ、外見が著しく変わってくる。ただし、アナボリックステロイドを使っただけでは、そのような変化が起きるわけではない。

薬物を使いながらも猛烈なトレーニングと管理された食事を組み合わせなければ、人工のテストステロンの効果は目に見えるほどは得られないのである。

医療現場で使われるテストステロン

低テストステロン症は心身の健康に悪影響をもたらすことが知られている。不調に陥り、その原因が低テストステロン症だと医師が判断した場合、患者の中にはテストステロン補充療法を希望する人がいる。テストステロン補充療法を求めるのは主に男性だが、女性患者もゼロではないそうだ。

多くの場合、テストステロン補充療法による予後は良好で、気落ち、骨密度、エネルギーレベル、性欲、筋量、インスリン耐性、尿路感染、勃起などについて大きく改善されることが確認されている。

テストステロン補充療法はあくまでも医師による処方であり、患者のテストステロンレベルが正常値にまで上昇するように人工テストステロンを用いる。つまり、アスリートが使うアナボリックステロイドとは目的も量も異なり、テストステロン補充療法と筋肉増強は決して混同してはならない。

ちなみにテストステロン補充療法では重篤な副作用を発症することは少ない。しかし筋肉増強の目的でアナボリックステロイドを使用し、その結果、副作用が報告されるのは、正常レベル以上にテストステロンを高めた結果だ。

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